収入が減っても育休を取って良かった理由|現役男性教員の体験談

お金

はじめに:収入が減っても、育休を取って良かった理由

育児休業といえば、これまでは主に女性が取得するものというイメージが強かったかもしれません。

しかし、時代は少しずつ変わりつつあります。最近では男性の育休取得の話題も増えてきました。

私自身はというと、3人目の子が生まれてから

男性教員として4月〜3月の、1年間の育児休業を取得しました。

教員の世界では年度ごとに異動もあり、クラス替えなどもあります。

4月〜3月の丸1年いないことによって周りに影響が大きく及ぶことがなかったのも

1年間という長期の育休を取得する後押しをしてくれました。

育休対象の子どもがちょうどその時期に生まれたわけではなく、多少妻に負担をかけてしまった

部分もありましたが、職場にもできるだけ迷惑をかけないように

自分自身も気兼ねなく育休を取得できるようにと考えて選択したものでした。

収入面の不安や周囲の視線もありましたがそれでもこの1年で得たものは

お金には代えがたい「人生の財産」となりました。

せっかくできたこの貴重な経験がこれから育児休業を考えている男性教員や

家族の在り方を見直したいと考えている方の参考になればと思い

この記事を書いています。

育児休業で得た4つのこと

家族との絆が深まった

育休中、毎日子どもと過ごすことで、日々の成長を目の当たりにしました。

初めて立った瞬間、初めて言葉を発した日。

これらを一緒に体験できたことは、父親としてかけがえのない時間でした。

また、パートナーと家事・育児を分担することで、互いの理解が深まり、夫婦関係もより良好になりました。

母親任せにせず、共に育てるという意識が生まれたのです。

我が家ではパパママ同時に育児休業を取得していましたが

子どもからしても両親と共に過ごせる時間が多くあることは

確実に良い影響があると感じます。

私は第3子が生まれた際に初めて育休を取得しました。

3番目の子は、上の子2人に比べ確実に赤ちゃんの時期に一緒にいれる時間が長かったです。

そのためか、私にもなついてくれることが多く、子どもと触れ合う時間を多くとることは大切なことだと改めて感じました。

家族のかたちは本当に人それぞれですが、私にとっては、こうして絆を深めることができた

育休中の時間は何物にも代えがたいものとなりました。

自分自身の価値観が変わった

毎日忙しく働いていた頃は、仕事が人生の中心でした。

しかし育休を通じて、時間の使い方や人生の優先順位を見直すきっかけになりました。

子育てを通じて「人を育てる」ことの奥深さを知り、教員としての仕事に対しても新たな視点を持てるようになりました。

子どもに対しても、より丁寧な眼差しを向けるようになり、それが教育現場にも良い影響を与えていると感じています。

子育てを通して生徒への見方も大きく変わったと感じます。

「教育はいかに待つことができるか。」

育休で子育てに専念していたことで余裕をもって子どもと接することができたことで気付かされた点です。

私達大人はどうしてもすぐに結果を求めてしまいがちです。

適切な言葉かけや、支援をしながらも、子どもたちが自らできるようになるのをどれだけ待てるか。

この考えがいかに大切で、子どもたちの大きな成長につながっているのかを育休中の子育てで気付かされました。

こうした価値観が大きく変わったことで

教育現場に戻った際にもいかせるスキルが身につきました。

長期的には収入アップの可能性もある

確かに、育休中は収入が減ります。

育児休業給付金は手取りの67%(180日目以降は50%)となりますが

通勤費や交際費が減るため、支出が抑えられる面もあります。

また、育休中の収入が減ることで、家計をしっかりと見直そうとする意識も芽生えました。

この意識が非常に大きかったと思います。

支出を抜け漏れなく管理できるように家計簿アプリも導入しました。

日々の支払いはキャッシュレス払いにして、自動集計できるように工夫もしました。

仕事に追われている時にはできなかったことに取り組むことで、無駄な出費なども見直すことができました。

仮に月3万円ほどの無駄が見直すことができたとしたら、育休中の収入減少額も数年で元が取れます。

更に長い目で見ると、資産増加にもつながるものでした。

こうして、真剣に家計の見直しができたのも、思い切って1年間という長い期間の育休を取得したからこそだと感じます。

社会的意義がある行動になった

私が育休を取得したことで、同僚や後輩教員から「実は育休に興味がある」といった声を聞くようになりました。

まだまだ男性教員の育休取得率は低いですが、誰かが前例を作ることで、その文化は少しずつ広がっていくはずです。

私自身が「育休を取った男性教員」として見られることで

学校全体にとってもポジティブな空気が生まれたように感じました。

実際に私の後にも育休取得をする男性教員もいました。

その際にはいろいろと質問をしてくれたり、話を聞きに来てくれました。

私自身の経験談を惜しみなく伝えることができ、少しでも人の約に立てていたのかもしれません。

【年収600万円の男性教員】育児休業1年間で得られるお金のリアル

育休取得を迷っている方の多くの人が気になるのが「お金」の話だと思います。

収入減の部分がどのくらいなのかイメージできると意思も固まるかと思いますので

参考程度にはなりますが、私自身が34歳(勤続11年の教員)で1年間育休取得した際のお金のあれこれを詳しく解説します。

当時の年収おおよそ600万円となります。

同じような境遇の方の具体的なイメージにつながれば幸いです。

はじめに結論として、我が家の場合

1年間の育休取得での収入減少額は150万程となりました。

育児休業給付金

育児休業期間中は、「育児休業給付金」が支給されます。

支給率は67%〜50%となっておりますが、社会保険料の免除等もあるため

実質、育休開始から6ヶ月は手取りの7〜8割

7ヶ月目〜は6割程度と考えてもらえれば大丈夫です。

期間支給率支給額(月)支給額(6ヶ月分)
育休開始~6ヶ月67%約28万円約168万円
育休7ヶ月目~12ヶ月50%約21万円約126万円

合計: 約294万円(1年間)
※実際の支給額は上限がありますが、余程の高収入でなければ上限には達しません。一般的な子育て世代の教員の収入であれば気にせずとも大丈夫だと思います。

上記は月給40万円相当(年収600万円)での目安となります。

ざっくりではありますが、上記の数字が実際に私の口座に振り込まれた金額の目安になります。

ちなみに6月のボーナスは前年度の1、2、3月の勤務実績があり、60万円ほどの振込がプラスでありました。

※ボーナスに関しては育休の取得時期によって変化があると思いますのでご注意ください。

純粋な手取り収入は合計350万円程度となります。

◯自治体によっては計算シートがHPにありますので、より正確な計算ができますのでご活用ください。

社会保険料の免除(実質的な得)

育休中は以下の社会保険料が全額免除されます。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料(共済組合)
  • 雇用保険料

この関係で6月にもらえるボーナス分もお得となっていました。

大切な制度ですが社会保険料の負担感も実感する良い機会となりました・・・。

さらに気をつけなければいけないのは住民税に関しては4月〜の育休取得の場合も

4、5月分はきっちり払う必要があるということです。

また育児休業給付金の最初の振込日は6月ごろとなるので最初に結構な額の手出しがあります。

そこは貯金でカバーするなどしないといけません・・・。

一方で我が家の場合は、妻は専業主婦、私自身も給与は無し(育児休業給付金は非課税)という状況が続きましたので、復帰してからの住民税が免除になるなどのメリットもありました。

これは配偶者の収入状況や、子の人数など家族構成等によっての違いがありますのであくまでも参考としてお考えください。

収入の減少額をどう考えるか

1年間の収入減少額はおよそ150万円程でした。

多いと感じるか、思ったりより減らなくてやっていけそうだなと考えるかは人それぞれかと思います。

私自身は150万円を払って、1年間の休みを得る。しかもその期間子どもと過ごす時間を格段に増やすことができる。

その時しか見れない成長を間近で見ることができる。

そう考えた時に、決して高くはない、またお金には代えがたい貴重な時間を過ごせると思いました。

そんな考えに至ったことが最終的に1年間の育休取得を決心したきっかけとなりました。

まとめ:育児休業は人生を豊かにする投資

今になって振り返ってみると、1年間の育児休業は、私にとって「キャリアのブランク」ではなく

「人生の大きな投資」でした。

家族との絆、自分の価値観の変化、家計管理の知識の獲得——

どれも、これからの人生を豊かにしてくれる財産となりました。

もちろん仕事に向かって一直線に取り組むことで得られることもたくさんあります。

そうした過ごし方が生きがいの人もいるかもしれません。

その価値観を否定することは決してありません。

ですが、私と同じような価値観で、育児休業を取ろうか迷っている男性教員の方がいれば

私は心から「ぜひ挑戦してみてください」と伝えたいです。

一歩を踏み出すことで、得られるものは想像以上に大きいはずです。

最近は子どもを持つことは大変なことばかりだと感じ、敬遠してしまう意見も聞きます。

実際に少子化も進んできていて、数字としても明確になってしまっていることもでもあります。

ですが子育てには、子育ての魅力も多くあるのも事実です。

男性教員で私と同じような境遇の人が育児休業を取得し、子育ての魅力を感じることができるととても嬉しいです。

この記事が迷いや不安がある方の背中を押せるような、内容であり為になるものであることを願っています。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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