こんにちは、みかさです。
今日は学校現場だけでなく、子育てにも応用できる子どもとの「関わり方」の一つである「積極的生徒指導」について紹介します。
はじめに

私が教員になったのは、かれこれ十数年前の話です。
中学校の体育教員として採用された私は、体育教員は威厳があり
厳しくなければならないという先入観をもって、初任者としての1年をスタートさせました。
しかし、身長も日本人平均に及ばない160cm台
ガタイがいいわけでもなく、強面な顔でもない。
どちらかといえば、優しい顔つきで
笑顔を褒めてもらえるような雰囲気の私。
威厳があり厳しく指導をしていく姿がどうもイメージできなく
どうしたらいいんだろうと悩みながら教員生活を過ごしていたのを今でも覚えています。
最初に赴任した学校で出会った、先輩の体育教員は
185cmの筋骨隆々、坊主頭で、イカツイ。
私のイメージしていた、the体育教員のような人でした。
さぞかし厳しい指導をしているんだろうなーと思いながら
体育の授業を一緒に行ったり、学級経営も見させてもらっていました。
ところが、そんなイカツイ見た目の先輩教員の授業は
・言葉が巧みで面白い
・生徒がものすごい食いついて話を聞いている。
・威圧している様子などなく、生徒のことを本当によく見ていて
・ちょっとした変化にもすぐに気づいて、プラスの声かけを行っている。
・生徒が自分たちでやる気を出して、授業に取り組むように導く
センスが抜群でした。
まさにエンターテイナーのような人だったのです。
私が抱いていた体育教員としての振る舞いの常識が覆された瞬間でした。
同時に私も見た目は随分違いましたが、あの先輩みたいな教員になりたいと
憧れになるような人でもありました。
積極的生徒指導とは?

前置きが長くなってしまいましたが、私が憧れた先輩教員が行っていた指導は
「積極的生徒指導」であったのだと後々、勉強していく中で気が付きます。
積極的生徒指導とは、問題が起きてから叱るのではなく
日頃から生徒と良好な関係を築き、トラブルを未然に防ぐ指導法です。
積極的生徒指導とは普段からの関わりでたくさんのことを意識的に行い
生徒の豊かな心を醸成していき、トラブルが起きないようにしていくことをいいます。
積極的生徒指導を行うには、とにかく生徒のことを
よく見ておかなければいけません。
日常的にこちらから積極的に関わっていく姿勢も必要です。
日常の中での関わり例

- 挨拶を毎日欠かさず交わす
- 頑張っている様子を見つけて声をかける
- できなかったことに目を向けるのではなく、できたことに目を向ける
- 褒める場面を増やせる導きを意図的に作る。
- 表情や行動の変化に気づいたら声をかける
- 自信をもって活動が行えるような仕組み・雰囲気づくりを行う
- 人対人の意識で、生徒も一人の人間として尊重する気持ちを大切にする
例を上げるとたくさん出てきます。
いずれにしても大切なことは生徒のことをどれだけよく見ているか
真剣に見つめる、向き合う時間がどれだけあるかです。
なぜ今、積極的な指導が求められているのか?

近年の時代の流れや背景などから、生徒の抱える問題なども
複雑に多様化しています。
そうした問題に対応していくには抑圧的な
指導のみでは難しくなっているのです。
生徒の多様化と価値観の変化
- 家庭環境・育ち方・文化的背景が多様化し、従来の画一的な指導方法が通用しにくくなっている。
- 生徒一人ひとりの個性や価値観を尊重しながら支援する必要がある。
問題が表面化しにくくなっている
- 不登校やいじめ、精神的な問題などが見えにくく、表に出にくい傾向がある。
- 日頃から積極的に関わり、信頼関係を築くことで早期発見・早期対応が可能になる。
生徒の自己肯定感の低下
- SNSなどの影響で、他人と比較しやすくなり、自己評価が下がる傾向がある。
- 教師や周囲の大人が積極的に関わり、良い点や努力を認めることが重要になっている。
「予防的」アプローチへの転換
- 問題が起こってから対処する「対症的」指導ではなく、問題を未然に防ぐ「予防的」な生徒指導が重視されている。
- 普段からの声かけや活動支援を通じて、生徒の行動や心の動きに目を向けることが求められる。
共に育つ教育観の広がり
- 生徒を「指導対象」ではなく「共に学び成長する存在」として捉える視点が重視されている。
- 教師も成長し続ける存在であり、生徒との関係性を通じて互いに育ち合うことが期待されている。
要するに、積極的生徒指導は、生徒の多様なニーズに応え、信頼関係を築き
問題を未然に防ぐための重要な教育実践として位置づけられているのです。
かつての「叱って正す」指導では、子どもの心が閉じてしまうケースがあります。
また情報がこれだけ発達し、子どもたちでも簡単に様々な情報を
取得できるようになった今の時代
上からおさえつけるような指導は上手くいかないものとなってきています。
信頼関係をベースにした関わりが、子どもの成長を支えることにつながるのです。
これらの背景などから積極的な生徒指導が求められています。
【家庭での応用】子育てに活かす3つのポイント

学校では先生、家では3児の父でもある私。
積極的生徒指導は、子育てにも活かせるものであると痛感しています。
積極的生徒指導の考え方は
どの年代の子どもにも通じるものがあります。
「叱る前に気づく」
◎良い行動を見つけて、先に褒めることで自信が育つ
とはいえ、私自身も反省することばかりですが
家での子育ての場面では、家事や、スマホ、テレビなどに
気を取られてしまって見逃してしまうことも・・・。
集中して子どもと過ごす時間を作って接していると、褒める場面も
たくさん見つけられるはずです。
子育て場面では、バランスも考えながら
「子どものことをよく見る」
というのをちょっと意識してみてください。
叱る場面は、子どもが問題を起こしてしまったあとです。
見逃していたり、別のことに気を取られている際にも
問題が起きたときには嫌でも気が付きますよね・・・。
よく見ていなかったけど、問題が起きてしまったときに、気づいて叱る。
そんな機会ばかりになってないか振り返ることも大切です。
「声かけを習慣に」
◎日常的に「元気?」「今日どうだった?」と関わることで、信頼が深まる
また、家庭でも「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえり」「おやすみ」
などのあいさつも大切にできるといいですね。
習慣的に声をかけていると、子どもの反応がいつもと違う時などに、「あれ?なにかあったのかな?」
と自然と気づくこともでてくるかと思います。
◎表情や行動の違和感に気づいた時こそ、早めに声をかけることが大切
気づいてくれる、見てくれているという信頼感が子どもを安心させます。
こうした積極的な関わりは、安心して過ごせる居場所づくりにつながるはずです。
「子どもと一緒に取り組む」
中学生などの年代になると、自分で取り組む意欲が出るような仕組みづくりができると
自立して行ってくれることも多くあります。
ですが、家庭での子育て(幼稚園児などの)小さな年代の子では
いくら仕組みを作っても、一人で行うことが難しいことも多々あります。
そんな時はぜひ一緒に取り組んでみてください。
お片付けや歯磨き、お風呂、など嫌々する場面はたくさんあるのが想像できます。
わが家でもまだまだそんな場面ばかりです・・・。
時間はかかりますが、一緒に取り組んだことでも、できたときにはたくさん褒める。
片付けなんかは、子どもたちが使ったものなんだから「自分で片しなさい」
と思う気持ちは十分理解できます。というより私も常にその気持です。笑
ですがそこをぐっとこらえて、なんなら先に片付けを始めると
あとから自然と一緒に行ってくれることもあります。
そうなれば褒めるチャンスです!
そんな風に、切り口を変えながら粘り強く子どもと関わっていると
いつの間にか成長した姿を自然と見せてくれる場面が出てきます。
そんな場面にたくさん出会えることが何よりも子育ての魅力ではないでしょうか。
まとめ:積極的な関わりが子どもの未来を支える

学校でも家庭でも、大切なのは
「信頼関係」
信頼関係を築くには、積極的に声をかけ、見守り
共に育つ姿勢が、大切です。
そんな大人の
あたたかく、愛情ある姿勢は
子どもの未来を明るく照らします。
中学校教員時代に学んだ「積極的生徒指導」
そして父として経験した子育ての中で学んだ関わり方
どちらにも共通する部分はたくさんありました。

・子どものことをどれだけよく見ることができるか
・一人の人間として尊重して、関わることができるか
・褒める場面を作る、仕組みづくりがいかにできるか
・積極的に、明るくあたたかいコミュニケーションが取れているか。
生徒指導や、子育ての悩みはつきないものです。
苦労や悩みもたくさん出てくることかと思います。
そんな中でも積極的に関わる姿勢、心がけを忘れずに過ごすことで
子どもたちとの良好な関係を作って
素敵な時間を過ごせる人が増えることを願っています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
少しでもこの記事が、みなさんの生活の中で
なにかの良いヒントになったり
活かせるものであると嬉しいです。
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